OBJECTIVE.
理学部物理学科の山田真也准教授ら4名の共同研究が、公益財団法人高エネルギー加速器科学研究奨励会の2024年度奨励賞(小柴賞)を受賞しました。
公益財団法人高エネルギー加速器科学研究奨励会は、高エネルギー加速器科学および関連技術の研究の助成を行い、発展、育成を図る為に設立されました。
本賞は、2002年ノーベル物理学賞受賞者でカミオカンデ実験によりニュートリノ天文学を切り拓いた小柴昌俊博士の功績を讃えて設けられ、素粒子分野などの基礎科学における測定器技術の開発研究において、独創性に優れ国際的にも評価の高い業績をあげた研究者及び技術者に贈られます。
本賞は、2002年ノーベル物理学賞受賞者でカミオカンデ実験によりニュートリノ天文学を切り拓いた小柴昌俊博士の功績を讃えて設けられ、素粒子分野などの基礎科学における測定器技術の開発研究において、独創性に優れ国際的にも評価の高い業績をあげた研究者及び技術者に贈られます。
小柴賞受賞者

左から小柴賞受賞者の岡田信二氏、山田真也、橋本直氏、奥村拓馬氏、および共同研究者の下村浩一郎氏 (高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所教授)
山田 真也(立教大学理学部物理学科准教授)
岡田 信二氏(中部大学教授)
橋本 直氏(理化学研究所理研ECL研究チームリーダー)
奥村 拓馬氏(東京都立大学准教授)
岡田 信二氏(中部大学教授)
橋本 直氏(理化学研究所理研ECL研究チームリーダー)
奥村 拓馬氏(東京都立大学准教授)
研究課題/業績
「極低温検出器を用いたエキゾチック原子X線精密分光の開拓」
受賞理由
TES(Transition Edge Sensor:超伝導転移端センサー)は、超伝導相転移近傍の電気抵抗変化を利用した極めて高感度な熱量センサーである。受賞者らは、極低温環境での高度なノイズ管理技術を駆使し、加速器環境においてもTESの性能を最大限に引き出す手法を確立した。この手法により、世界に先駆けて陽子加速器施設でのTESの安定運用を可能にし、TESを用いたエキゾチック原子の高精度X線測定において、画期的な成果を次々と生み出した。その成果は国際的にも高く評価されている。また、米国NISTを含む国際コラボレーションを主導し、原子核?ハドロン物理、原子分子物理、ミュオン科学などの多分野の研究者と協力しながら、TES技術を活用した加速器科学の進展に貢献した。
岡田氏、山田氏、橋本氏は、2012年のプロジェクト黎明期より測定器技術の開発と加速器ビームラインの基盤構築に携わり、プロジェクトを主導。奥村氏は2019年からミュオンを用いた実験の展開に加わり、進展に貢献した。こうした多分野にわたる研究者との連携を主導し、技術革新を推進してきたことが評価され、4名による共同受賞に至った。
岡田氏、山田氏、橋本氏は、2012年のプロジェクト黎明期より測定器技術の開発と加速器ビームラインの基盤構築に携わり、プロジェクトを主導。奥村氏は2019年からミュオンを用いた実験の展開に加わり、進展に貢献した。こうした多分野にわたる研究者との連携を主導し、技術革新を推進してきたことが評価され、4名による共同受賞に至った。
授与式について
日時:2025年3月5日(水)15:00
会場:アルカディア市ヶ谷(私学会館)7階「琴平」(東京都千代田区九段北4-2-25)
備考:当日は、受賞研究についての発表を行いました。
会場:アルカディア市ヶ谷(私学会館)7階「琴平」(東京都千代田区九段北4-2-25)
備考:当日は、受賞研究についての発表を行いました。


研究概要
本研究は、優れたエネルギー分解能と検出効率を兼ね備えたX線検出器「超伝導転移端型マイクロカロリメータ(Transition Edge Sensor; TES)」を加速器実験へ導入することに取り組んだものです。
TES検出器は、極低温技術と超伝導転移端を活用した高感度な温度計を用い、X線のエネルギーを熱に変換して高精度に測定する装置です。この検出器は、計測対象のX線に対して高感度である一方、外乱の影響を受けやすいため、多数の粒子が飛び交う加速器ビームラインでの利用は困難とされてきました。本研究では、こうした放射線環境下においても、実験装置全体の最適化やデータ解析手法の改良を通じて、TES検出器の性能を十分に発揮させる手法を確立しました。その成果として、J-PARCにおけるハドロン科学の実験に成功し、さらにJ-PARCでのミュオン科学への展開や放射光施設での応用も進めてきました。
これらの成果の一部は、下のRELATED LINKSのニュースや日本語解説記事にて紹介しています。
※3/13【追記】
授与式の写真、研究概要、コメントを追加掲載しました。
TES検出器は、極低温技術と超伝導転移端を活用した高感度な温度計を用い、X線のエネルギーを熱に変換して高精度に測定する装置です。この検出器は、計測対象のX線に対して高感度である一方、外乱の影響を受けやすいため、多数の粒子が飛び交う加速器ビームラインでの利用は困難とされてきました。本研究では、こうした放射線環境下においても、実験装置全体の最適化やデータ解析手法の改良を通じて、TES検出器の性能を十分に発揮させる手法を確立しました。その成果として、J-PARCにおけるハドロン科学の実験に成功し、さらにJ-PARCでのミュオン科学への展開や放射光施設での応用も進めてきました。
これらの成果の一部は、下のRELATED LINKSのニュースや日本語解説記事にて紹介しています。
※3/13【追記】
授与式の写真、研究概要、コメントを追加掲載しました。
コメント
COMMENT
理学部物理学科准教授
山田 真也
このたび、小柴賞という歴史と名誉ある賞を受賞することができ、大変光栄に思います。
本研究は、さまざまな分野の研究者や技術者の皆様との連携と協力によって実現したものであり、深く感謝申し上げます。各大学や研究機関、加速器施設の皆様の支援に、心より御礼申し上げます。また、宇宙分野では、X線天文衛星ASTRO-HおよびXRISM衛星に携わった研究者の皆様と、その貴重な経験に支えられたことにも、改めて感謝いたします。
今後は、TES検出器を活用した科学研究を、地上および宇宙観測の両面でさらに推進するとともに、TES検出器の普及と発展にも尽力してまいります。